トマスワンニャン:富増章成

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蘭学事始に関する資料

蘭学事始の原稿は素杉田家に一本を秘蔵せしに、安政二年江戸大地震の火災に焼失して、医友又門下生の中にも曾かつて之これを謄写者なく、千載の遺憾として唯不幸を嘆ずるのみなりしが、旧幕府の末年に神田孝平氏が府下本郷通を散歩の折節、偶ま聖堂裏の露店に最いと古びたる写本のあるを認め、手に取りて見れば紛まぎれもなき蘭学事始にして、…書中の紀事は字々皆辛苦、就中明和八年三月五日蘭化先生の宅にて始めてターフルアナトミアの書に打向ひ、艫舵なき船の大海に乗出せしが如く茫洋として寄る可きなく唯あきれにあきれて居たる迄なり云々以下の一段に至りては、我々は之を読む毎に、先人の苦心を察し、其剛勇に驚き、其誠意誠心に感じ、感極きわまりて泣かざるはなし。

後学福沢諭吉謹誌。

 

★1774年、『解体新書』

ゴロ:ななしの死体を解体=田沼時代

宝暦・明和事件田沼意次の頃

狂歌「めいわく(明和9年)」もキーワードです。