トマスワンニャン:富増章成

歴史や思想を知っておくと便利です

学制(被仰出書、おおせいだされしょ)の史料

 人々自ら其身を立て其産を治(をさ)め(生計をたたていくこと)其業を昌(さかん)にして以て其生を遂(とぐ)るゆゑんのものは他なし身を脩(をさ)め智を開き才芸を長ずるによるなり。而て其身を脩め知を開き才芸を長ずるは学にあらざれば能(あた)はず。是れ学校の設(もうけ)あるゆゑんにして日用常行言語書算を初め、仕官・農・商・百工・技芸及び法律・政治・天文・医療等に至る迄、凡人の営むところの事、学あらさるはなし。

 人能く其才のあるところに応じ勉励して之に従事ししかして後初て生を治め産を興(おこ)し業を昌にするを得ベしされば学問は身を立るの財本ともいふべきものにして人たるもの誰か学ばずして可ならんや。…(この後、けっこう長いです)

 

之に依て今般文部省に於て学制を定め追々教則をも改正し布告に及ぶべきにつき自今以後一般の人民華士族農工商及女子必ず邑(むら)に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す。

文部省規則ニ随ヒ学問普及致候様方法ヲ設可施行事

  明治五年壬申七月(1872)
  太政官